灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

モモ

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今日桃太郎が死んだ
結構いい奴だった
がりがりに痩せて薬品臭のする便を漏らしながら
私の腕に抱かれたまま旅立っていった
手のひらにはまだ最後の痙攣の感触が残っている
そしてこの世から消えた

手の中のまだ温いがもはや骸となったもも
その犬歯の間から覗いた赤い舌は
現実を鮮やかに切り裂き
百億光年離れた
最果ての惑星の
寒々とした
岩の上
孤独


自分の飼い犬ではなかったけど
言葉は話せなかったけど
私達は舌を舐め合って互いの温もりを確認した
私には何物にも代えがたい心の友だった
もう二度とおまえに会うことはできない
目をつむればその姿が浮かぶ
おまえの残していった可愛いい足跡で心がヒリヒリと痛む


死に死に死に死に死に死にその膨大な灰の中で
今年もまた情け容赦なく暮れてゆく
生きていることの宿命なのか…
百億光年の岩の上で
震えている


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