灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

センコウ

 ひしめき合っていた
「どうやら選ばれるのは一人だけらしいぜ」
どこから聞いてきたのか ブッさんが笑いながらそういった
その笑いには自虐の意味が込められているのだろうか
そう考えてるうちに 何者かに頭を叩かれた
「間違っても おまえは選ばれないよ おまえみたいなネグラな奴はな…」
ハハハ…皆が声を出して笑った

 その時に備えてトレーニングする者
かけごとに興じる者 じっと目を閉じて動かない者などそれぞれのやり方で時間を過ごしている
このような待機宿舎が何百何千とあってぼくらと同じようにその中には何万人もが暮らしている
皆一様に自分が選考される事を望んでいる
いったん召集がかかれば順番に出動してゆくのだ
ここに入ってからもう何度も先輩たちが出動してゆくのを見た

「出動したからって 全部が実戦とは限らないんだ ほとんどは訓練なんだよ」
「訓練?  何を言ってるんだい誰も戻ってこないじゃないか?」
「それはそうさ 訓練でも実戦でも一度ここを出たら二度と戻れないんだよ」
「そうなんだ~」
「選ばれるのは一人だよね?」
「そうとは限らないよ 複数の場合もあるらしい ごく稀にだけどね」
「選ばれるとどうなるんだい」
「そんな事は分からないよ ただそいつは生き残るみたいだよ」
「そうかそいつだけが生き残れるのか」
ぼくは自分が生き残る事を考えてみた
でもそんな事はあり得ないことのように思われた
そんな事はないと思うけどもしも、もしもだよ二人ともうんよく生き残れたら
お互いが分かるように印を付けておこう


 また同じ夢をみた
あれは一体どこなのだろう~?
そうか~
ぼくはまだ生きている
ぼくは選ばれたのか
何億という仲間の中でただ独り
母親の産道を駆け上がり
宝くじに当たるよりも
凄い確率で人となったのだ
ぼくの手の平にはあの時トムが付けた
星型のあざがまだかすかに残っている…。



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