灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

うたかた



目を覚ませば ちっぽけな流木に縋って 流されてゆく

めいめいが 何かに掴まり ゆっくりと運ばれてゆく

空は鉛のように低く重い 流れは灰色に澱んで生暖かい 岸も見えない

どこへ わからない いつから わからない

手を離せば 容赦なく沈んでゆく それだけがわかっている

目を瞑り そのことをわすれる

そして恋をする 夢を実現する 満たされた生活

幸せの絶頂にある時も 目を開ければ 目にする光景

しがない流木に縋って流せれてゆく 哀れな漂流者

プカプカプカ ぷかぷかぷか pukapukapuka

目を閉じその人なりの人生を生きている

笑っている人もいる 泣いている人もいる

流されてゆくそれぞれの人 人 人

うたかたのひととき


失敬!前を横切ります

久しく目を開けた人にあった

ボクらは目を合わせて笑った

どうぞ ご存分に!

やはりあれは照れ笑いだったのだろう