灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

イメージ 1

ある時 煩わしくなって

ぼくは自分の影を撒いた

影はうろたえて右往左往してぼくを探していた

ぼくは物陰からそれを見ていた

影は声をあげずにひとしきり泣き叫んだあと

トボトボとどこかへ行ってしまった



影のない毎日は新鮮だった

ぼくはふわふわとクラゲのように漂った

風のように気まぐれに遊びまわった


でもある日一人の女性から言われた

影のない人とは付き合えないわ

小さな子どもから言われた

おじさん一人ぼっちで可愛そう

老人は云った

死んだものには影がないんだぞう~


光を浴びるから影はできる

それはセットだったんだ


影を亡くしたあの日に

ぼくは光も失くしていたんだ


ぼくは影を探すたびに出た

誰かぼくの影を知りませんか

ぼくの影を見ませんでしたか


カラスが鳴いてぼくをわらった

影はおまえの後ろにちゃんとあるよ

振り返るといつの間にか影がいた

寄り添うように影がいた

やあ

やあ

またよろしくな!


そっとクリック↓
[https://novel.blogmura.com/ にほんブログ村 小説ブログ