灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

お隣さんは異星人

その1

今日
隣の家の主人が挨拶にきた。
しばらく家を空けますんで、
留守中いろいろと御迷惑をお掛けすると思いますがどうか宜しく
ゴミ当番と回覧板は飛ばしてもらうよう組長さんには話しています
ほうほうわかりました 
で どちらへ?
久々に里帰りをしようと思いまして
それはいいですねところで故郷はどちらでしたかな
M102ですよ
M102!
それはまた遠いところを大変ですね
ところでお礼と言っては何ですが・・・
もしよければこれをお納めください
そう言って御主人は小さな包みを取り出した
どうせティシュの類だろうと私は黙って受け取った



その日の夜 町が寝静まったころ
プシューと不思議な音がして我が家の飼い犬桃太郎が耳をそばだてて小さく唸った
突然カーテン越しに窓が明るくなったので床から出て外の様子を伺った
隣の家族が庭から伸びる光るタラップをのぼってゆくのが見えた
家族を順に乗せた後でタラップは静かに消えていった
閉まりかけたハッチの間から誰かが覗いている
私は思わずベランダにでた
御主人は私に気付いて中に向かって何か言った
閉まりかけたハッチの間から家族の皆が顔をのぞかせて触手を振った
その姿は.もう彼等本来の姿だった
さようなら元気でなあ
私も手を振った

さてわたしもそろそろ帰るとするかな
故郷の星に・・・。